四季送り げんみ❌
壁打ちですとも! 「面白い」について。
不意に、雲平に本当の意味で「面白い」で行動を選べる日が来たならそれが人間として大きな変動になるよねって。
本編最後の「面白そう」は皮肉だから、それが本来の意味での面白いになればなって(流石にあの場では訂正出来ないよせっかく良い雰囲気なのに!)。思い出しては「ごめん!!」と中の人がヘッドバンギング未遂する程度に後ろめたさがあるからこそ、静かに変わっていつか「実はあの時は」とカラッと笑いながら言えるくらいになったらと思ってます(´∩ω∩`)
自ら「友達・改」を納得いくかたちで定義出来たら……とも思うけどね、抱えてるもの故に難しい。それでも「かけがえのない仲間」だという確信は、これからも深めていける。深められる未来が感じられる。だからこっちも大事に育みたいな。
夜間学校は「やりたいこと」を選んだ。たまたまするべきことと一致したのを後押しに、って体だけど、それでも選んだことに間違いは無いのです。
次は、本当の今での「面白い」で選べるようになろう。必要なこと、求められてることとか後回しに。
畳む
そろそろ他探索者さん語りしたいけど、解像度に自信が無いぜ! 妄想だけはしてるんだよな……。
#四季送り
壁打ちですとも! 「面白い」について。
不意に、雲平に本当の意味で「面白い」で行動を選べる日が来たならそれが人間として大きな変動になるよねって。
本編最後の「面白そう」は皮肉だから、それが本来の意味での面白いになればなって(流石にあの場では訂正出来ないよせっかく良い雰囲気なのに!)。思い出しては「ごめん!!」と中の人がヘッドバンギング未遂する程度に後ろめたさがあるからこそ、静かに変わっていつか「実はあの時は」とカラッと笑いながら言えるくらいになったらと思ってます(´∩ω∩`)
自ら「友達・改」を納得いくかたちで定義出来たら……とも思うけどね、抱えてるもの故に難しい。それでも「かけがえのない仲間」だという確信は、これからも深めていける。深められる未来が感じられる。だからこっちも大事に育みたいな。
夜間学校は「やりたいこと」を選んだ。たまたまするべきことと一致したのを後押しに、って体だけど、それでも選んだことに間違いは無いのです。
次は、本当の今での「面白い」で選べるようになろう。必要なこと、求められてることとか後回しに。
畳む
そろそろ他探索者さん語りしたいけど、解像度に自信が無いぜ! 妄想だけはしてるんだよな……。
#四季送り
久々に昨日は2時まで起きてましたね。体感、やはり1時までには寝た方が良い(´∩ω∩`)微妙に眠い!
最近何故か朝方に一度は目が覚めるので、睡眠時間確保のためにも早寝かなぁ。やりたいことたんまりあるのにさぁ!
今日もお仕事頑張ろうねぇ。
#日常
最近何故か朝方に一度は目が覚めるので、睡眠時間確保のためにも早寝かなぁ。やりたいことたんまりあるのにさぁ!
今日もお仕事頑張ろうねぇ。
#日常
四季送り げんみ❌
まーた悪夢!
あとひとりいるはず。
血塗れのリビングを歩いてたら、廊下で気配がした。
足音を立てずに、速やかに。人の気配を追って廊下に出たところで、足首を掴まれた。
女の人が、最後の力で。
とっくに殺したと思ってた。この家には人がたくさん居たから、即死するような傷を与えるほど時間かけれなかった反省点はある。それでも、致命傷は与えたはずだった。
迷わず包丁を振り上げる。その人には、恨み言を言う力も残ってないようだった。
違う。
必死に、何かを守る目だ。自分はどうなっても。時々、仕事中にこんな目をする人はいる。結果は変わらないのに。
……そう、変わらない。
仕事だから、仕方ない。
“この目に特別感じることなんてない”。仕事相手の都合なんて、知ったところで無意味だ。かえって刃を鈍らせるだけかもしれない。
ほら、だから。
特に感情を抱くこともなく、包丁を急所目掛けて突き立てる。もう、苦しまなくて良いように。それだけに専念する。
『さっきの気配は、きっとこの人だったに違いない』。そう、覆い隠しながら。
目が覚める。
吐き気がする。
頭の中の喧しさは、いつもに増して。
でも、感じない。僕は何も感じない。
仕事したことにだけは、何も、誰であろうと、感じては駄目だから。命は等価だ。そうでなければ、僕は。
記憶だったかもしれない夢を、咀嚼不良のまま無理矢理呑み込む。割れそうな頭を薬で黙らせれば、日常を開始できる。
それがいつの、誰の、どんな仕事だったのかなんて、答え合わせすることも無い。特別な仕事に昇華させることなく、僕は今日の衣服に袖を通した。
◆
勝手に見た夢だし、記憶は歪むもの。谷崎家以外にも一家惨殺はあったからね。でも、もしかしたら。
実在したかどうかも未確定な、もう取り返しのつかない悪夢を見た話でした。
才能はあっても適性の有無は別なのだよ。それでも殺し屋の才能があるのは、やり遂げた上で生きてしまえるところで(n回目)。
実に皮肉で、実に人間らしいと思います。畳む
#四季送り #SS
まーた悪夢!
あとひとりいるはず。
血塗れのリビングを歩いてたら、廊下で気配がした。
足音を立てずに、速やかに。人の気配を追って廊下に出たところで、足首を掴まれた。
女の人が、最後の力で。
とっくに殺したと思ってた。この家には人がたくさん居たから、即死するような傷を与えるほど時間かけれなかった反省点はある。それでも、致命傷は与えたはずだった。
迷わず包丁を振り上げる。その人には、恨み言を言う力も残ってないようだった。
違う。
必死に、何かを守る目だ。自分はどうなっても。時々、仕事中にこんな目をする人はいる。結果は変わらないのに。
……そう、変わらない。
仕事だから、仕方ない。
“この目に特別感じることなんてない”。仕事相手の都合なんて、知ったところで無意味だ。かえって刃を鈍らせるだけかもしれない。
ほら、だから。
特に感情を抱くこともなく、包丁を急所目掛けて突き立てる。もう、苦しまなくて良いように。それだけに専念する。
『さっきの気配は、きっとこの人だったに違いない』。そう、覆い隠しながら。
目が覚める。
吐き気がする。
頭の中の喧しさは、いつもに増して。
でも、感じない。僕は何も感じない。
仕事したことにだけは、何も、誰であろうと、感じては駄目だから。命は等価だ。そうでなければ、僕は。
記憶だったかもしれない夢を、咀嚼不良のまま無理矢理呑み込む。割れそうな頭を薬で黙らせれば、日常を開始できる。
それがいつの、誰の、どんな仕事だったのかなんて、答え合わせすることも無い。特別な仕事に昇華させることなく、僕は今日の衣服に袖を通した。
◆
勝手に見た夢だし、記憶は歪むもの。谷崎家以外にも一家惨殺はあったからね。でも、もしかしたら。
実在したかどうかも未確定な、もう取り返しのつかない悪夢を見た話でした。
才能はあっても適性の有無は別なのだよ。それでも殺し屋の才能があるのは、やり遂げた上で生きてしまえるところで(n回目)。
実に皮肉で、実に人間らしいと思います。畳む
#四季送り #SS
そういや最近、レモングラスとホーリーバジル育て始めました。
収穫はまだしてないけど、どこまで育つかな。気温30度超えたら元気に成長すると聞いているのでね、そのときは遠慮なくハーブティーにしますよ。
来週にはアロマティカスをお迎えします。こちら、めっちゃくちゃ可愛い多肉ハーブでふわふわの生毛がたまらんのです。香りも良い。虫除けになるそうです。ゴキブリとか。自室と仮宿で育てよう。
毎晩抱き枕と寝てるんですけど、お布団に巻き込むようにして背中にフィットされたときの安心感に目覚めてしまいました。背中から抱っこされてる!
その後正面から抱っこするけど、このひととき、大事にしたいな……(∩´͈ ᐜ `͈∩)˖*♬೨̣̥
#日常
収穫はまだしてないけど、どこまで育つかな。気温30度超えたら元気に成長すると聞いているのでね、そのときは遠慮なくハーブティーにしますよ。
来週にはアロマティカスをお迎えします。こちら、めっちゃくちゃ可愛い多肉ハーブでふわふわの生毛がたまらんのです。香りも良い。虫除けになるそうです。ゴキブリとか。自室と仮宿で育てよう。
毎晩抱き枕と寝てるんですけど、お布団に巻き込むようにして背中にフィットされたときの安心感に目覚めてしまいました。背中から抱っこされてる!
その後正面から抱っこするけど、このひととき、大事にしたいな……(∩´͈ ᐜ `͈∩)˖*♬೨̣̥
#日常
四季送り 雲をこの目に写すまで げんみ❌
勢いで纏めてるから細々としたの忘れてるかも。
雲平KPCがしんどいの、KPCにとっては2000年間の地獄と絶望を経て、それでも狂うわけにはいかず、壊れ続けながらPCを探して、ようやく存在消滅と言う悲願に至れる……と勘違いしたままハッピーエンドを迎えることです。生まれ変わりだと信じる花たちに、心の中でごめんなさいをしながら。
PC誰かによるけど、チトセくんじゃないならチトセくんを守り切れなかったときに約束通り右手の小指を切り落としてユキちゃんに渡すか供えるかします。だから、KPCに小指が無い率高い。
“あび”の誰かが捕まって処置されそうになったら、そうなる前に殺します。ちゃんと死期を送れるうちに、会いたい人たちに迎え入れてもらえるうちに。
祝さんには自分が不老になったことを明かしても、PCを正しい時間に返したら存在消滅することは隠し通すと思います。騙してでも。そのことは最後の最後まで苦しむし、時折息を殺しながら泣いてる事項になる。
「祝の願い、叶えられなくてごめんなさい。嘘ついてごめんなさい。何も出来なくて、ごめんなさい」
仲間たちの子孫とかも守ろうとするけど守れない。守ろうとして守れなくて、死を奪われそうになったら自分が死を与えて。
だから、仲間の一部からも忌まれることはあるはず。それでも決めたことだから一貫するし、そこに賛同できる人と行動してたのかも。
誰がPCでも、“あび”の誰かが不自然に狂い腐りゆく世界の人柱にされ貶められるのは許せない。どんなに憎まれたって、自分なら生きてしまえると分かってる。最後に待ち受けるのが存在消滅だとしても、“存在自体が過ち”である自分であれば妥当で都合が良い、代償ですらなく報酬じゃないか。世界の仕組みの部品として使い潰されるのもお似合いだ。……と本人は解釈するかなって。
ただ、人間としては保たない。少なくとも祝さん、錦玉さん、一月くんを喪ったら一気に崩れそうになるので、転生は人間だけじゃない、他の生き物にだってなるかも、って教えてもらってさ。
それがその場しのぎの出まかせでも、雲平には最後の糸になる。
以降、白い花を育てて、どの花か分からないけど、どれかにきっと、誰かが転生してるはず、って。
自分の仲間の転生ってことは、自分が仕事した相手も一緒に来ててたくさんいるだろうから、自分を憎み許さず呪う人たちが大半だって自覚もある。それでも良い。当然なことで、わかりきってることだから。それより、仲間が転生して一緒にいたい人たちと一緒の方が良い。もしかしたら、義兄ちゃんや閻魔たちもいるかもしれない。
なので、雲写のKPCの隠し部屋は一部花畑になってるアレンジ入れることになるかな。天井が崩れた半屋外スペースを花畑にして、一人分のスペースだけ空いててさ。さながら猫のように転がって、子どものように花に囲まれて「皆居る」を縋るように信じてる。
PCにも案内するし、皆に報告するし、僅かな時間でも一緒に過ごしたがる。最後の移動では、花を摘んで首輪か冠に編んで、一緒に2000年前に送り出す。実際には、花はこっちに取り残されるのかもしれないけどね。それはそれで、やっと願いが叶う雲平を見送るのかもしれないし、叱っているかもしれないし、何にせよ、彼らの生前にこうなることを隠し続けてたことは雲平も改めてごめんなさいって口にするだろうな。特に祝さんには。
やっと消えられる。正しく戻る。その先で世界がどうなるかはわからない。少なくとも、こんな世界よりかはマシになる。マシな上で滅ぶかどうか。見届ける責任は、前提からして無理だけど、やっぱり見届けたかったな。
……消えられる。やっと、誰にも憎まれずに、誰のことも憎まずに済む。生きるのなんて、存在するだけで痛いだけ。なのに、何でかな。泣きたくて、叫びたくて、会いたくて、触れたくて、
帰りたい。帰りたいよ。帰るとこずっと無いのに、無くしたのに、無くなったのに。おかしい。分かってる。だけど、喉を裂くようにして込み上げるかたまりが何なのか、僕にも分からないの。
お母さん不許可
お父さん不許可
お兄ちゃん
いたいよ
◾️◾️◾️◾️畳む
こんなの絶対回せない。
#四季送り
勢いで纏めてるから細々としたの忘れてるかも。
雲平KPCがしんどいの、KPCにとっては2000年間の地獄と絶望を経て、それでも狂うわけにはいかず、壊れ続けながらPCを探して、ようやく存在消滅と言う悲願に至れる……と勘違いしたままハッピーエンドを迎えることです。生まれ変わりだと信じる花たちに、心の中でごめんなさいをしながら。
PC誰かによるけど、チトセくんじゃないならチトセくんを守り切れなかったときに約束通り右手の小指を切り落としてユキちゃんに渡すか供えるかします。だから、KPCに小指が無い率高い。
“あび”の誰かが捕まって処置されそうになったら、そうなる前に殺します。ちゃんと死期を送れるうちに、会いたい人たちに迎え入れてもらえるうちに。
祝さんには自分が不老になったことを明かしても、PCを正しい時間に返したら存在消滅することは隠し通すと思います。騙してでも。そのことは最後の最後まで苦しむし、時折息を殺しながら泣いてる事項になる。
「祝の願い、叶えられなくてごめんなさい。嘘ついてごめんなさい。何も出来なくて、ごめんなさい」
仲間たちの子孫とかも守ろうとするけど守れない。守ろうとして守れなくて、死を奪われそうになったら自分が死を与えて。
だから、仲間の一部からも忌まれることはあるはず。それでも決めたことだから一貫するし、そこに賛同できる人と行動してたのかも。
誰がPCでも、“あび”の誰かが不自然に狂い腐りゆく世界の人柱にされ貶められるのは許せない。どんなに憎まれたって、自分なら生きてしまえると分かってる。最後に待ち受けるのが存在消滅だとしても、“存在自体が過ち”である自分であれば妥当で都合が良い、代償ですらなく報酬じゃないか。世界の仕組みの部品として使い潰されるのもお似合いだ。……と本人は解釈するかなって。
ただ、人間としては保たない。少なくとも祝さん、錦玉さん、一月くんを喪ったら一気に崩れそうになるので、転生は人間だけじゃない、他の生き物にだってなるかも、って教えてもらってさ。
それがその場しのぎの出まかせでも、雲平には最後の糸になる。
以降、白い花を育てて、どの花か分からないけど、どれかにきっと、誰かが転生してるはず、って。
自分の仲間の転生ってことは、自分が仕事した相手も一緒に来ててたくさんいるだろうから、自分を憎み許さず呪う人たちが大半だって自覚もある。それでも良い。当然なことで、わかりきってることだから。それより、仲間が転生して一緒にいたい人たちと一緒の方が良い。もしかしたら、義兄ちゃんや閻魔たちもいるかもしれない。
なので、雲写のKPCの隠し部屋は一部花畑になってるアレンジ入れることになるかな。天井が崩れた半屋外スペースを花畑にして、一人分のスペースだけ空いててさ。さながら猫のように転がって、子どものように花に囲まれて「皆居る」を縋るように信じてる。
PCにも案内するし、皆に報告するし、僅かな時間でも一緒に過ごしたがる。最後の移動では、花を摘んで首輪か冠に編んで、一緒に2000年前に送り出す。実際には、花はこっちに取り残されるのかもしれないけどね。それはそれで、やっと願いが叶う雲平を見送るのかもしれないし、叱っているかもしれないし、何にせよ、彼らの生前にこうなることを隠し続けてたことは雲平も改めてごめんなさいって口にするだろうな。特に祝さんには。
やっと消えられる。正しく戻る。その先で世界がどうなるかはわからない。少なくとも、こんな世界よりかはマシになる。マシな上で滅ぶかどうか。見届ける責任は、前提からして無理だけど、やっぱり見届けたかったな。
……消えられる。やっと、誰にも憎まれずに、誰のことも憎まずに済む。生きるのなんて、存在するだけで痛いだけ。なのに、何でかな。泣きたくて、叫びたくて、会いたくて、触れたくて、
帰りたい。帰りたいよ。帰るとこずっと無いのに、無くしたのに、無くなったのに。おかしい。分かってる。だけど、喉を裂くようにして込み上げるかたまりが何なのか、僕にも分からないの。
お兄ちゃん
いたいよ
◾️◾️◾️◾️畳む
こんなの絶対回せない。
#四季送り
四季送り げんみ❌
雲平の面談がどろどろしがちなので平和なシーンを妄想するの回。
よし、書き上げたぜオチのないSS!
※本文自体はふせったーと同じ。あとがきは一部違う
頭痛がする。
気付いてすぐに薬を飲んだが、倦怠感の方はどうにも拭えない。幸い店番の人手は足りてるし、ティータイムも過ぎている。布巾類の洗濯を口実に、バックヤードに引っ込ませてもらった。
扉を閉めれば、比較的静かな空間にほっとする。こんな時は特に、扉越しに人の気配を感じるくらいがちょうど良い。何かあれば駆け付けられるし、視線や耳に気を張らずに済む。
窓をすかせば、外の風が音を乗せて入り込んでくる。裏に農園があるためか、市内にしては動物の気配を感じることが多い。ずっと眺める時間があれば、木々の間を鳥影が横切ったり、塀の上を歩く猫を見ただろう。
「……今は仕事」
意識を戻す。水を細く出して、大まかな汚れやゴミを洗い流す。なるべく、余計なことを考えないようにする。頭の鈍痛を感じそうになるのを、水の冷たさに集中して覆い隠す。
ほとんど洗い終わった頃。勝手口からカリカリと音がした。かなり低い位置から。
「……どうしたかな」
何が来たかは、察しがついた。水を止めて布巾を絞りながら扉に足を……違う、肘をひっかけて開けてやる。
鳴き声ひとつを挨拶に、顔を覗かせたのは野良猫。この辺りの幾つかの家や店を回りながら生きてる器用なーー世渡り上手、な猫だ。
“あび”の他の人がこの猫のことを知ってるかは知らない。ただ、“あび”の敷地内は猫の巡回路に入っているようだから、何度か見かけてる人はいるかも。僕の場合、この猫とは庭や農園で顔を合わせるか、庭にいる時近付いて来たのを撫でるくらい。あ、縁側で寝たこともあったか。でも、それくらいだ。
これまで、この猫が扉を開けようとしたことは無かった。アピールしたことも。餌の催促の可能性? 少なくとも僕には、食べ物があるのを教えた覚えは無い。
「入る、駄目。待ってて」
果たして猫に言葉が通じるかはわからないが、トレイに水を張って扉の手前に置く。餌やりじゃないから、問題にはならない……多分。
猫の動きに意識を向けつつ、急いで残りの布巾を濯いでカゴに入れる。扉を開けて、「通る」と断ってから猫を跨いで、屋外の洗濯機に入れる。
「みゃあ」
「わ」
とん、と蓋を開けた洗濯機の上に飛び乗る猫。
「危ない。落ちる」
洗剤を入れるのに両手塞がってるタイミングで何故。猫が落ちないように頭で軽く押しやると、猫も僕の頭に頭を押し付けてくる。
「いや、これ、挨拶じゃ……」
訂正したところで猫なので伝わらない。それよりさっさと洗濯機を回そう。
洗剤を入れて、苦労しながら蓋をして、ボタンを押せば、注水音が聞こえてくる。猫はと言えば、仕事の妨げをした自覚も無く、呑気に僕の頭を前脚で挟むようにして抱えている。鞠遊びのつもりだろうか。
ただ、この体勢のときに頭に体重のせるのはやめて欲しい。
引き抜くようにして頭を上げれば、不満げにひと鳴きされた。
「(……お店戻る前に、猫に構って良いかな)」
今戻ったところで、出来ることは限られている。客がいるのに掃除するわけにもいかないし。
猫に腕を伸ばして反応を伺えば、猫は洗濯機から飛び降りた。どうやら抱き上げられる気分ではないらしい。
猫の進む先は庭先の縁側。追い越すようにして向かって適当に腰掛ければ、猫も隣に飛び乗って身体を擦り付けてきた。
猫の背中をそっと撫でてみる。野良猫なのに毛艶が良く、手触りの良さで誰かにブラッシングされてるのがわかる。この猫はずっとそうだ。誰かに保護されるわけでもなく、しかし飼い猫に向けられるような手間を複数の人間から分け与えられている。
わからないのは、そういう人間ばかりを狙って愛嬌振り撒くのではなく、何も与えてない僕にまでこうだってことだ。毎日見かけるわけじゃないし、顔を合わせても毎度こっちに来るわけじゃない。気まぐれに来るにしても、餌だとか、何か見返りを求めて良いはずだ。
特別猫に好かれるようなことをした覚えだって無い。さっき思い返してた通り、最初は敷地内を歩いてるのをぼんやり見てただけ。近づいて来ても、触って良いのかわからなくて、向こうからそうして欲しいとされるまではしなかった。そのうち、一緒に寝ることがあったり。
「(……そう言えば、初めて一緒に寝た時も、頭、痛かった)」
人の気配ひとつだって神経に障る。そんな頭痛に我慢ならず、縁側の下に簾を敷いてサボりをしていたときだ。目蓋を開く度、向こうから“だるまさんが転んだ”みたいにじわじわ猫が近付いてくる。人間じゃないから良いか、なんて放置してたら、触れられるくらいまで近づいてて。出方を伺っていると猫の方から僕の懐に擦り寄って、そのまま寝てしまったのだ。あの時は人が呼びに来る気配で猫が動くまで、ぐっすり寝てしまったような。おかげで、頭痛は楽になっていたのだけど。
「(……思い出してたせい? 頭痛、存在感増してきた)」
猫を見下ろせば、僕の太腿に脚を乗せてこちらを見上げている。じっと、じーっと、こちらを見つめていた。
困った。今の僕はサボりなんかしてる場合じゃない。少しの休憩が終わったなら、“あび”のことひとつでもしないと。なのに、何故か猫から無言の圧を感じる。気のせい?
「……仕事する」
「…………」
無言で、太腿を抑える重さが増す。体重かけられてる。
「…………その前に、もう少し休憩?」
休憩、を口にした瞬間、猫が脚を退けた。縁側の上の日陰になってるところに移動して、座って、尻尾で床を叩いてる。
「(もしかして、この猫、人の言葉理解してる?)」
真実味が増して、ほんのり怖い。けれど、生きてる猫であることは間違いないはずだ。それに、今まで怖いことしてこなかったし……!
猫を待たせるのも怖いので、靴を脱いで、縁側の影、猫の隣に横向けに寝る。すぐさま猫は僕の懐におさまった。じっとこっちを見ている。許しが出るまでは僕は動いちゃいけないらしい。
困ったな、と思う。思うくせに、断らない僕も僕だ。
今日も喧しい頭の中を聞き流しながら、目の前に広がる庭を、農園を眺める。
静か、だ。無音ではないが、気を張るような音は、耳には届かない。身体の前に垂らした腕で猫を囲む。逃げる気配は無い。嫌がる気配も無い。時々、猫に当たる指を動かして撫でてみるが、気にするそぶりは無い。
時間と雲だけ流れて、そのうち、眠たくなってくる。猫もそうなのか、欠伸してから寝る姿勢になったのが見えた。ますます、起き上がり難い。遠慮してしまう。それも作戦のうちなのかーーまさか。流石に、無い。はず。くうくうと寝息に合わせて上下する胴を見守る。
「……ふぁ……あ。」
猫のあくびがうつった、と気付いて、可笑しくなってくる。枕にしている片腕を調整し直して、猫に目を向ける。起き上がるつもりか、と一瞬片耳が動いたのがさらに可笑しい。
「……猫は、ずっとひとり?」
猫は無反応だ。当然だ。普通、伝わるわけない。寝ろの圧だって、本当は僕が休む言い訳にしてるだけかもしれないのに。
なのに、頭が眠気にゆらゆらしてるせいか、ぽつぽつ言葉が落ちる。
「“優しい”は、いる?」
「人間だけじゃなくて、猫同士の……安心なら、どっちでも良いか」
「……昔、ひとりのとき、僕にも“優しい”猫がいて、」
「空き家で、こっそり。逃げたりしないで、一緒にいるの許してくれた。人間は、怒って追いかけて来るけど、猫はしなかった」
「他の動物も、犬とか鳶、追いかけてくる。来るの嫌で、逃げたり隠したりしてるのに。でも猫は皆、僕を見ても逃げるか、一緒に居るかだ」
「だから、僕は、猫が良い。安全で、あたたかい。……寝ろってする猫、お前が初めてだけど」
そんな猫に欠伸をうつされたことが、くすぐられるみたいに可笑しい。寝かしつけが上手な猫なんて聞いたことない。……猫に寝かしつけられる人間も、聞いたことないな。
「頭、また痛くなったら、寝かしつけしに来る?」
薄目を開けて訊いてみる。猫は答えずに目を閉じて、尻尾だけ静かに床を叩く。
伝わってるのか伝わってないのか、僕がそう思いたいだけの勘違いか。
正解がどうあれ、この時間は間違いなく穏やかで優しい昼下がりだった。
◆
猫:本当にただの野良猫。渡り歩くだけあって観察眼はあると思われる。
『猫に寝かしつけられる雲平』というネタを書いただけの、オチの無い話でした。
「猫が良い」は本当で、好きな動物を問われたら(好き、と言えるのか考えた後に)猫と答えます。痒いのうつされることがあるのだけは困るけど、身体洗えば良いだけですからね。
動物が人間の不調を感じ取って行動する話は珍しくない話だと思ってます。もしかしたら雲平が世話になった猫たちも、子どもの不具合に気付いて居場所を許してくれたのかも。他の人間が近付けば勘付いて動くから、子どもも見つかる前に隠れたり出来たかもね。
ただし! 人間社会的に、空き家の件は不法侵入なので! そりゃ見つかれば怒鳴られ追い出されるのよ!
今はしませんよ? 祝さんに解説されてるはずなので。
それにしても、自己管理の場所に少し変化出てきたみたいで。少しずつ「大丈夫」が広がると良いわね。
畳む
#四季送り #SS
雲平の面談がどろどろしがちなので平和なシーンを妄想するの回。
よし、書き上げたぜオチのないSS!
※本文自体はふせったーと同じ。あとがきは一部違う
頭痛がする。
気付いてすぐに薬を飲んだが、倦怠感の方はどうにも拭えない。幸い店番の人手は足りてるし、ティータイムも過ぎている。布巾類の洗濯を口実に、バックヤードに引っ込ませてもらった。
扉を閉めれば、比較的静かな空間にほっとする。こんな時は特に、扉越しに人の気配を感じるくらいがちょうど良い。何かあれば駆け付けられるし、視線や耳に気を張らずに済む。
窓をすかせば、外の風が音を乗せて入り込んでくる。裏に農園があるためか、市内にしては動物の気配を感じることが多い。ずっと眺める時間があれば、木々の間を鳥影が横切ったり、塀の上を歩く猫を見ただろう。
「……今は仕事」
意識を戻す。水を細く出して、大まかな汚れやゴミを洗い流す。なるべく、余計なことを考えないようにする。頭の鈍痛を感じそうになるのを、水の冷たさに集中して覆い隠す。
ほとんど洗い終わった頃。勝手口からカリカリと音がした。かなり低い位置から。
「……どうしたかな」
何が来たかは、察しがついた。水を止めて布巾を絞りながら扉に足を……違う、肘をひっかけて開けてやる。
鳴き声ひとつを挨拶に、顔を覗かせたのは野良猫。この辺りの幾つかの家や店を回りながら生きてる器用なーー世渡り上手、な猫だ。
“あび”の他の人がこの猫のことを知ってるかは知らない。ただ、“あび”の敷地内は猫の巡回路に入っているようだから、何度か見かけてる人はいるかも。僕の場合、この猫とは庭や農園で顔を合わせるか、庭にいる時近付いて来たのを撫でるくらい。あ、縁側で寝たこともあったか。でも、それくらいだ。
これまで、この猫が扉を開けようとしたことは無かった。アピールしたことも。餌の催促の可能性? 少なくとも僕には、食べ物があるのを教えた覚えは無い。
「入る、駄目。待ってて」
果たして猫に言葉が通じるかはわからないが、トレイに水を張って扉の手前に置く。餌やりじゃないから、問題にはならない……多分。
猫の動きに意識を向けつつ、急いで残りの布巾を濯いでカゴに入れる。扉を開けて、「通る」と断ってから猫を跨いで、屋外の洗濯機に入れる。
「みゃあ」
「わ」
とん、と蓋を開けた洗濯機の上に飛び乗る猫。
「危ない。落ちる」
洗剤を入れるのに両手塞がってるタイミングで何故。猫が落ちないように頭で軽く押しやると、猫も僕の頭に頭を押し付けてくる。
「いや、これ、挨拶じゃ……」
訂正したところで猫なので伝わらない。それよりさっさと洗濯機を回そう。
洗剤を入れて、苦労しながら蓋をして、ボタンを押せば、注水音が聞こえてくる。猫はと言えば、仕事の妨げをした自覚も無く、呑気に僕の頭を前脚で挟むようにして抱えている。鞠遊びのつもりだろうか。
ただ、この体勢のときに頭に体重のせるのはやめて欲しい。
引き抜くようにして頭を上げれば、不満げにひと鳴きされた。
「(……お店戻る前に、猫に構って良いかな)」
今戻ったところで、出来ることは限られている。客がいるのに掃除するわけにもいかないし。
猫に腕を伸ばして反応を伺えば、猫は洗濯機から飛び降りた。どうやら抱き上げられる気分ではないらしい。
猫の進む先は庭先の縁側。追い越すようにして向かって適当に腰掛ければ、猫も隣に飛び乗って身体を擦り付けてきた。
猫の背中をそっと撫でてみる。野良猫なのに毛艶が良く、手触りの良さで誰かにブラッシングされてるのがわかる。この猫はずっとそうだ。誰かに保護されるわけでもなく、しかし飼い猫に向けられるような手間を複数の人間から分け与えられている。
わからないのは、そういう人間ばかりを狙って愛嬌振り撒くのではなく、何も与えてない僕にまでこうだってことだ。毎日見かけるわけじゃないし、顔を合わせても毎度こっちに来るわけじゃない。気まぐれに来るにしても、餌だとか、何か見返りを求めて良いはずだ。
特別猫に好かれるようなことをした覚えだって無い。さっき思い返してた通り、最初は敷地内を歩いてるのをぼんやり見てただけ。近づいて来ても、触って良いのかわからなくて、向こうからそうして欲しいとされるまではしなかった。そのうち、一緒に寝ることがあったり。
「(……そう言えば、初めて一緒に寝た時も、頭、痛かった)」
人の気配ひとつだって神経に障る。そんな頭痛に我慢ならず、縁側の下に簾を敷いてサボりをしていたときだ。目蓋を開く度、向こうから“だるまさんが転んだ”みたいにじわじわ猫が近付いてくる。人間じゃないから良いか、なんて放置してたら、触れられるくらいまで近づいてて。出方を伺っていると猫の方から僕の懐に擦り寄って、そのまま寝てしまったのだ。あの時は人が呼びに来る気配で猫が動くまで、ぐっすり寝てしまったような。おかげで、頭痛は楽になっていたのだけど。
「(……思い出してたせい? 頭痛、存在感増してきた)」
猫を見下ろせば、僕の太腿に脚を乗せてこちらを見上げている。じっと、じーっと、こちらを見つめていた。
困った。今の僕はサボりなんかしてる場合じゃない。少しの休憩が終わったなら、“あび”のことひとつでもしないと。なのに、何故か猫から無言の圧を感じる。気のせい?
「……仕事する」
「…………」
無言で、太腿を抑える重さが増す。体重かけられてる。
「…………その前に、もう少し休憩?」
休憩、を口にした瞬間、猫が脚を退けた。縁側の上の日陰になってるところに移動して、座って、尻尾で床を叩いてる。
「(もしかして、この猫、人の言葉理解してる?)」
真実味が増して、ほんのり怖い。けれど、生きてる猫であることは間違いないはずだ。それに、今まで怖いことしてこなかったし……!
猫を待たせるのも怖いので、靴を脱いで、縁側の影、猫の隣に横向けに寝る。すぐさま猫は僕の懐におさまった。じっとこっちを見ている。許しが出るまでは僕は動いちゃいけないらしい。
困ったな、と思う。思うくせに、断らない僕も僕だ。
今日も喧しい頭の中を聞き流しながら、目の前に広がる庭を、農園を眺める。
静か、だ。無音ではないが、気を張るような音は、耳には届かない。身体の前に垂らした腕で猫を囲む。逃げる気配は無い。嫌がる気配も無い。時々、猫に当たる指を動かして撫でてみるが、気にするそぶりは無い。
時間と雲だけ流れて、そのうち、眠たくなってくる。猫もそうなのか、欠伸してから寝る姿勢になったのが見えた。ますます、起き上がり難い。遠慮してしまう。それも作戦のうちなのかーーまさか。流石に、無い。はず。くうくうと寝息に合わせて上下する胴を見守る。
「……ふぁ……あ。」
猫のあくびがうつった、と気付いて、可笑しくなってくる。枕にしている片腕を調整し直して、猫に目を向ける。起き上がるつもりか、と一瞬片耳が動いたのがさらに可笑しい。
「……猫は、ずっとひとり?」
猫は無反応だ。当然だ。普通、伝わるわけない。寝ろの圧だって、本当は僕が休む言い訳にしてるだけかもしれないのに。
なのに、頭が眠気にゆらゆらしてるせいか、ぽつぽつ言葉が落ちる。
「“優しい”は、いる?」
「人間だけじゃなくて、猫同士の……安心なら、どっちでも良いか」
「……昔、ひとりのとき、僕にも“優しい”猫がいて、」
「空き家で、こっそり。逃げたりしないで、一緒にいるの許してくれた。人間は、怒って追いかけて来るけど、猫はしなかった」
「他の動物も、犬とか鳶、追いかけてくる。来るの嫌で、逃げたり隠したりしてるのに。でも猫は皆、僕を見ても逃げるか、一緒に居るかだ」
「だから、僕は、猫が良い。安全で、あたたかい。……寝ろってする猫、お前が初めてだけど」
そんな猫に欠伸をうつされたことが、くすぐられるみたいに可笑しい。寝かしつけが上手な猫なんて聞いたことない。……猫に寝かしつけられる人間も、聞いたことないな。
「頭、また痛くなったら、寝かしつけしに来る?」
薄目を開けて訊いてみる。猫は答えずに目を閉じて、尻尾だけ静かに床を叩く。
伝わってるのか伝わってないのか、僕がそう思いたいだけの勘違いか。
正解がどうあれ、この時間は間違いなく穏やかで優しい昼下がりだった。
◆
猫:本当にただの野良猫。渡り歩くだけあって観察眼はあると思われる。
『猫に寝かしつけられる雲平』というネタを書いただけの、オチの無い話でした。
「猫が良い」は本当で、好きな動物を問われたら(好き、と言えるのか考えた後に)猫と答えます。痒いのうつされることがあるのだけは困るけど、身体洗えば良いだけですからね。
動物が人間の不調を感じ取って行動する話は珍しくない話だと思ってます。もしかしたら雲平が世話になった猫たちも、子どもの不具合に気付いて居場所を許してくれたのかも。他の人間が近付けば勘付いて動くから、子どもも見つかる前に隠れたり出来たかもね。
ただし! 人間社会的に、空き家の件は不法侵入なので! そりゃ見つかれば怒鳴られ追い出されるのよ!
今はしませんよ? 祝さんに解説されてるはずなので。
それにしても、自己管理の場所に少し変化出てきたみたいで。少しずつ「大丈夫」が広がると良いわね。
畳む
#四季送り #SS
やっと!!!
やっと長きに渡る苦悩に光が……!!
【代役の無い自分の存在の削除】を選ばない可能性を握ったぞー!! わー!!!!! はあ(息切れ
本編で祝さんに「きっと殺し屋なんてものに詞が狙われた以上は『雲平じゃなくたってきっとこの結末は変わらなかった』」と言われていたのがね、ここで効果を発揮したと言いますか。
雲平が存在しなくても、ヨスガが詞さんにアガチ適性があることを知っている以上、必ず彼は死ぬ。代役不在の存在消滅が叶った世界において、祝さんはたったひとりで仇を探し続ける内、ヨスガの暇潰しに消費されて死んでいたかもしれない。
だからこれが唯一、“自分が発生しなければ”を挫ける因果。その結果、数多の犠牲者、癒えない傷を生み出したのだとしても、祝さんが独り日陰に呑まれるルートなんて、祝さんに出会い愛された自分には到底願えない。
ならばと言わんばかりに呪いの矛先が祝さんに向けられたとしても、本編中と同じに雲平は「祝に責任は無い」と矢面に立つのでしょう。
それに、詞さんから「雲平までいなくなったら祝が衰弱死しそう」「祝を頼む」と言われてる。梟木夫婦からは「大切な人の手は離すな」。
最初から自分が存在しなければもしかしたら祝さんは詞さんと、と思っていたのが、ヨスガが存在する限り詞さんは確定で死ぬことになると気付けば、そりゃ自分が消えるわけにはいかないし、祝さんのためなら存在を維持するかなぁって。
勿論、詞さんの死が不可避でも、自分が存在せず祝さんがひとり日陰に沈むルートなら、彼以外の人たちは別の結果になったかもしれない。だからってそうなる世界を選ぶなんてしたくない。ひとりないし少数の犠牲で多数の可能性を得る、そんな世界の在り方を肯定する行為だからね。
だからと言って仕事した人たちのことを生贄扱いしたくない。依頼を受けて自分が仕事した相手、その認識は変えてはいけない。なので、殺しに来るなら(抗うけど)殺しに来たら良い。呪うなら呪えば良い。雲平の、人間社会などへの憎悪は健在なのでね。
それにしても、ようやく祝さんと詞さんの2人からの“旧い印”を贈られている事実を後ろめたさ無く抱き留められた気がする。ふたりから、生まれ変わるのを望まれたってことを、どこか叶えなければって義務のようなニュアンスに変質していたからさ。根底に、『自分が存在している現状が間違いだ』と認識してるのがあったんだろうね。
【存在自体が過ちだ】、これは変わらない。でも、消滅すれば解決するわけじゃなかった。むしろ思いつく限りでの最悪に辿り着いてしまう。
だから、消滅を選ばずに、祝さんと詞さんが雲平を環の中に招き入れてくれたことをストッパー無しに抱き締めよう。詞さんからも雲平を「義弟ができて嬉しかった」と身内に数えてくれた喜びを、保護袋から取り出して抱きしめてみてさ。畳む
#四季送り #思考整理